上達の指南

阪本寧生五段の「3子局は序盤で反発」

(2)ボウシから強く封鎖する

(寄稿連載 2016/02/09読売新聞掲載)

 解説用の盤面が、3子局としては上下反転しているのではと違和感をお持ちの方がいるかと思います。これは私が手前に座り、皆さんを相手にしていることを想定しているからです。ご了解いただければ幸いです。
 さて、互い先でも置き碁でも、基本は戦いにあります。戦いを避けて通ることはできません。戦わずして勝てるのなら、それは手合違いというものです。

 【テーマ図】 右下から順に、左下、左上、上辺と4か所で定石のような形ができました。黒はそつなく打っています。
 ここで私は白39と単騎突入の消しに向かいました。深入りのようでも、ここまで踏み込まないことには黒模様が大きく勝負になりません。黒はどう応じるべきでしょうか。

 【正解図】 黒1のボウシが強い攻めの手です。白2のツケなら、黒3の伸びから5、7と押さえ、11まで強く封鎖します。白12から14と急所に守り、一応は生き形ですが、次に黒Aのツギでも十分です。ここの黒が厚くなると、上辺の白4子の薄みが目立ってきます。その上、左下隅の白にも利きがあって、黒に楽しみの多い形勢です。

 【失敗図】 黒1の囲いはいけません。白2から6とくつろげられて白の理想型になりました。左下のスソもあいていて、黒は大甘です。

 【実戦図】 黒1は白2、4とツケ伸びられてさっぱりでした。白10まで、黒の容易に勝てない碁になっています。

●メモ● 阪本五段は大学囲碁界出身。関西学院大学在学中に全日本学生十傑戦で優勝し、卒業後、プロになった。日本棋院関西総本部所属。昨年の成績は8勝8敗。棋院のネット対局サービス「幽玄の間」では、月に10~20局の指導碁を打っている。3子局が多いそうだ。

【テーマ図】
【正解図】
【失敗図】
【実戦図】