上達の指南
(4)模様の前にまず戦う力を
(寄稿連載 2016/02/23読売新聞掲載) 白が初手を隅に打った時、かからずに大場に先着する方も結構います。どんどん先行して大模様作戦をねらうのですが、これもやはり、私は積極的に推奨する気にはなれません。戦いの力がつきにくいと思うからです。
【テーマ図】 白1に黒2と星に先行し、白3から5のシマリに黒6と肩をつきました。珍しい打ち方ですが、黒10まで、中央の模様を意識しています。白25から29のカケに、黒はどう動きますか。
【正解図】 黒1、3と出切る一手だと思います。白4には黒5の当てから7、9と出ます。白10のゲタくらいですから、黒11と押さえます。白は立派な姿ですが、黒も隅の地がかなりまとまりそうです。
【参考図】 黒の出切りに対して、白1の当てから3と押すのが常用の手筋ですが、この場合はうまくいきません。
黒4の切りから6、8、10と強引に押さえ込みます。白11から13と当てても、黒16と伸びていていいのです。白Aのシチョウが悪いので、白のツブレになります。
【実戦図】 黒1から3と曲げました。白6に対し、黒11のハイもAのケイマもバランスがよくないので、7、9のワリツギでした。しかし白10とつぐ手が成立し、14となっては黒大悪でしょう。
3子が2子あるいは4子に変わっても、「序盤で反発」の精神をお忘れなく。
(おわり)
●メモ● 阪本五段は、井山裕太棋聖が主宰する「井山研究会」のメンバー。井山棋聖は年齢はひと回り下だが、プロ棋士としては1年先輩になる。研究会にはほかに、村松大樹六段、吉川一二段、小松大樹二段らの顔も。毎週火曜日、日本棋院関西総本部で、それぞれの前週の対局を検討する。