上達の指南

関達也三段の「弱点を知ることは上達の早道」

(1)隅の守り 出入り25目

(寄稿連載 2018/09/19読売新聞掲載)

 上達したい気持ちは、どなたでもお持ちでしょう。その方法はいろいろありますが、私が推奨するのは「弱点を知る」ことです。自分の弱点、相手の弱点をいち早く知ると有利な戦いができます。

 【テーマ図】4子の置碁です。置碁の場合、白石に弱点が多いはずなのですが、意外に黒にも弱点ができるのです。

 白1のカカリから3と開き、以下白9までごく普通の進行ですが、早くも黒に弱点が生じ始めています。黒AやBなどの大場が目につきますが、どこが弱点になっているでしょうか?

 【1図】黒が手を抜くと、白1と左上の三々に入られます。黒2から4と手堅く対応しても、白7のツギになると黒は不安が拭えません。

 【2図】前図はいかにも黒が弱気でした。白3には黒4と押さえる方がよさそうです。以下黒10のハネが最善で、いますぐ命の心配をしなくてもよさそうです。しかし、まだ完全な生き形ではなく、4子のハンデを考えると、後々に不安を抱えた戦いを強いられます。

 【3図】この局面で黒の弱点は、左上隅です。したがって、黒1に締まるのが急務です。平凡ですが、ここをしっかりした形にすれば、何の不安もなく戦えるのです。白2のカカリ以下は想定手順で、黒5と締まって弱点はありません。逆に白の弱点が見えてきます。

 1、2図と本図を比べると、左上隅の地は出入りで25目見当にもなります。

●メモ● 関三段は小学5年生の時にマンガ「ヒカルの碁」を読んで、囲碁に興味を持った。読み始めて1か月後には自宅から自転車で10分ほどの碁会所に通い詰めるようになり、小6で少年少女囲碁大会の新潟県代表になって、全国大会に出場した。「気が付いたら、プロを目指していました」

【テーマ図】
【1図】

【2図】
【3図】