上達の指南

関達也三段の「弱点を知ることは上達の早道」

(2)少ない石数 全力で補う

(寄稿連載 2018/09/26読売新聞掲載)

 序盤における弱点を知る最も簡単な方法は、彼我の石数の差です。自分の石数が少ない所が弱点、といっても過言ではないでしょう。弱点を抱えていると思い切った戦いができません。

 【テーマ図】白が5と構え、黒は6と三連星の堂々たるスタートです。白7から9と迫られると、左上隅一帯は黒の石数が少なく、弱点は一目瞭然でしょう。この場合、全力で弱点を補うことを考えます。

 【1図】△のハサミに対し、黒1とはさむのは積極的な戦法のひとつです。白2の飛びに調子で黒3、5とツケ伸び黒7まで、一見すると黒は弱点を補ったようです。

 しかし、白8の飛びから白10となると、左辺の黒2子が弱点になってきます。また、左上隅は白Aとのぞかれる隙があって、万全とはいえません。

 【2図】では、黒1のコスミはどうでしょうか?

 堅実無比ともいえるコスミですが、白2の守りに黒も隅を守らねばなりません。

 一策として、黒3のコスミツケから黒5ですが、この黒は重複形です。こうなると黒1と白2の交換は不要でしょう。

 【3図】弱点を守るときは全力で守るべきで、黒1の飛びがお勧めです。白2に黒3から7まで、これなら万全です。

 【4図】前図の白4で、白2にはねてくるなら、黒3と押さえます。白4の下がりに黒5、7と守って、これも前図に劣らず万全の守りです。

●メモ● 関達也三段は小田急線沿線の「囲碁サロン向ヶ丘遊園」で月2回指導碁を行っている。かつて近くに住んでいた藤沢秀行名誉棋聖が出入りしていたサロンで、「直接お目にかかったことはないですが、色紙等が飾られてあり、偉大な秀行先生の雰囲気に接している気分になります」。

【テーマ図】
【1図】
【2図】

【3図】
【4図】