上達の指南

新海洋子五段の「サルスベリの周辺」

(1)先手で相手の地 減らす

(寄稿連載 2016/05/31読売新聞掲載)

 サルスベリ(大ザル)を効果的に打てて、相手の地を減らすのは快感です。逆に自分の地だと思っていたところにサルスベリが来ると、ちょっとしゃくに障ります。止め方を知らないと、ずるずると入られてしまいます。サルスベリと友達になると、さらに囲碁が楽しくなるはずです。

 【1図】 星に一間高ガカリの定石からできる形です。実戦でもよく見かけますね。黒1のサルスベリは黒の権利と言っていいでしょう。打ち逃してはいけません。白は2のコスミツケで止めるのが基本形です。

 【2図】 白2から止めるのもあります。1図と出入りは変わりません。白4の捨て石で1図より黒をダメ詰まりにする利点があります。

 【3図】 捨て石で止める方法は、石の配置に注意しなければなりません。白6の時、黒7と出る手があると困ります。

 【4図】 サルスベリを覚えると、どんな場合でも使いたくなりますが、▲に石がある時は考えなくてはなりません。白の弱点を突いて黒1とはさみつけるのが得策です。

 【5図】 サルスベリは先手で打てるのが大きいのです。後手になっては効果半減どころか、相手にチャンスを与えることになります。△があると、黒5まで△が働いてちょうどカケツギの形になっています。先手は白に渡ります。

 【6図】 ここは黒1の小ゲイマがいいのです。白2までの交換で、もっと大きなところへ回ります。

●メモ● 新海五段は東京都出身。岩本薫九段門下。1978年入段、98年五段。女流最強位通算2期。囲碁を覚えたのは11歳。父親が毎日のように碁会所に通う姿を見て、「そんなに楽しいことなら、私も連れて行って」とせがんだのだという。中学に入ってからは学校から碁会所に直行。

【1図】
【2図】
【3図】
【4図】
【5図】
【6図】