上達の指南
(2)止め方に工夫が必要
(寄稿連載 2016/06/07読売新聞掲載) サルスベリは先手の寄せです。ですからいつ打ってもいいと思われるかもしれません。しかし相手の地を減らそうとする時は、上からが鉄則。上から利かせた後、サルスベリをするのが効果的なのです。先にサルスベリをして相手を固めてしまうと、上からの利きがなくなります。
今回は止め方について考えてみます。工夫が必要です。
【1図】 小目に一間高ガカリからツケヒキ定石となった形です。よく打たれますね。白1のサルスベリに対し、黒2から8までは基本の止め方です。
【2図】 △と▲の交換がある場合はどうでしょう。1図と同じく、黒2の止め方でいいのでしょうか。
【3図】 この形は黒2とつけて止めます。白3には黒A、白Bを交換せず、単に黒4とします。後に黒C、白Bとなるところで、黒地は2図と変わりませんが、白地が1目減っています。
スソが空いている時は、サルスベリではなく一間に飛び込まれることもあります。
【4図】 △の下がりに手を抜きました。すかさず白1のサルスベリです。これには黒4の捨て石を使う止め方が簡明です。
【5図】 白1の一間飛びには、黒2、4と押さえ、白5とつないだ時に黒6と出る手順が大切です。
【6図】 先に黒2と出てしまうと、白5のハネに黒6と緩めなくてはならなくなり、5図に比べて2目損しています。
●メモ● 新海五段は、中学2年で院生になり、岩本薫九段の研究会に通うようになった。負けた碁を見てもらった時は「この碁なら大丈夫」と励ましてくれた。「大きく包み込んで下さる優しさがあった」。囲碁を世界に伝えることに尽力した師匠は「普及のためにもっと棋士が必要だ」と話していたという。