上達の指南
(4)「まずは自分の取り番」要点
(寄稿連載 2007/08/13読売新聞掲載) アマチュアの皆さんは、本当にコウが嫌い、コウが怖いようです。相手がコウを仕掛ける素振りを見せただけで、ひたすらそれを回避。実際にコウが発生したら、もう最初から逃げ腰で謝ってしまう。しかし、これでは勝負に勝てるはずもなく、上達もおぼつきません。
というわけで今回、僕が言いたいのは、「相手がコウにしてくれたら喜ぶべき。まずは自分の取り番なのだから、何も恐れることはない」ということです。
この「まずは自分の取り番である」という点がポイントです。相手が仕掛けてきたということは、コウ争いはまず自分の取り番でスタートするということです。従って、どうしてもコウ争いを続けるのが嫌なら、相手がコウダテをしてきた時に解消してしまえばいいのです。解消するかどうかの権利は自分にある――この点を肝に銘じてください。
【テーマ図】 白1、3とコウを仕掛けてきました。この時点でまず言えるのは、白3でイとつぎ、黒ロ、白ハなら無条件生きだったのですから「コウにしてくれただけで黒は得をしている」ということです。自信を持って対応していただきたい。
【1図】 コウが怖いという意識ばかりが先立つのでしょうか。コウを取らずに黒1とついでしまう人の何と多いことか。こんな弱気でいいはずがありません。
【2図】 何はともあれ黒1と取る一手で、どうしてもコウが怖いのなら、白2の時に黒Aと解消すればいいのです。しかし黒には5という絶好のコウダテがありますから、3と受けてコウを続けることもできます。
コウを恐れていての上達はあり得ません。楽しむくらいの気持ちで、コウに接していただければうれしいのですが。
(おわり)