上達の指南

苑田勇一九段の「さばきは斜めに」

(3)立場弱い方がツケていく

(寄稿連載 2008/05/19読売新聞掲載)

 ツケはさばきの常とう手段です。立場の弱い方がツケていくことになります。この手段は、「お互いに強くなりましょう」という意味を含んでいることを覚えていてください。攻める時にツケてはいけません。弱い相手の石を強くしてしまうからです。

 【テーマ図】 下辺、白に二間に挟まれた▲をどうさばくものでしょうか。左下4分の1に限っていえば、石数は白4、黒2の勢力関係になっています。

 【失敗図】 黒1のケイマでまともに逃げ出すのはいけません。白2、4、6とぐんぐん押されます。黒7に、白8のケイマから10と飛ばれます。この図をよく見てください。黒は大切な右辺の模様がにわかに薄くなったのに対し、白は左下隅が堅いため、黒はただ逃げただけで、得た物は何もありません。すでに敗勢といえるでしょう。

 【1図】 黒1のツケがおすすめです。白2のハネに黒3と切り違え、石を斜めに使います。白4の当てから6のツギには、黒7と白1子をシチョウに抱えて、文句ありません。黒模様の谷が一挙に深くなりました。

 【2図】 黒1のツケに対し白2の伸びなら、黒3と押します。白4のハネには黒5の切りです。白6以下、10に黒11と飛んで、白はこの後、苦労させられそうですね。
 白6を7なら、黒6と押して打てるはずです。

●メモ● 苑田九段は第25期棋聖戦、第3、25、33期名人戦、第39、51期本因坊戦と、3大棋戦のリーグ入り決勝に6度進出したが、すべて敗れた。若いころからその才能を高く評価されていたから、リーグに入っていないのは「囲碁界の七不思議の一つ」といわれている。

【テーマ図】
【失敗図】
【1図】
【2図】