上達の指南
(1)眼形の急所からいく
(寄稿連載 2016/03/01読売新聞掲載) コウに強い人が碁にも強い、とはよく言われる言葉です。棋力向上のためにはコウに強くなる必要があるわけです。その第一歩は、コウ立てがいくつあるのか、正しく数えられるようになることです。この観点から、皆さんにコウ立てがいくつ利くかを数える問題を出題していきます。
いずれも黒番で、損コウはコウ立てとしません。
【第1問】 まずは基本中の基本です。
【1図】 黒1はコウ立てとなりますが、白2と受けられ、これ以上は利きません。
【2図】 黒1のワリコミが正解です。白2の後に黒3もコウ立てとして利くのです。
【3図】 白1と受けても黒2が利くので、コウ立ては二つとなります。
【第2問】 正解と失敗で、コウ立てに二つの差が生じます。
【4図】 黒1の放り込みは白2と取られてここまで。黒AやBも利きはしますが、これは損コウです。
【5図】 死活絡みのコウ立ては、眼形の急所から手を付けるもの、と覚えてください。黒1の置きから行くのが正解。
白Aの受けは黒B、白C、黒Dとセキにする手が残るので、白は2が正しい応手です。
【6図】 続いて黒1、3と二つのコウ立てが利きます。たかがコウ立ての一つや二つと安易に考えてはいけません。そのわずかな差で碁を落とした経験は、皆さんにもあるでしょう。細かな所にも神経を注いでいれば、それがいつか勝ち星につながります。
●メモ● 外柳二段は1994年生まれ、岩手県出身。高林拓二六段門下。名前の読み方は「ウルトラセブン」から。そのインパクトで、若手の中でも知名度は抜群。入段して間もなく丸2年を迎える。昨年は天元戦予選で枠抜けを果たし、本戦入りを決めた。本戦1回戦の相手は関西棋院の余正麒七段。