上達の指南
(2)敵の急所は我が急所
(寄稿連載 2016/03/08読売新聞掲載) コウ争いとコウ立ては常にセットとしてお考え下さい。コウ争いが発生してから「さて、コウ立ては――」では順番が逆で、コウ立ての数が有利だからコウを仕掛けるのが正しい手順。この意識を持つだけで、皆さんの碁が飛躍的に向上することは確実です。
【第1問】 黒からのコウ立てはいくつ利きますか。
【1図】 黒1と外ダメを詰めるのは白2の下がりが受けの好手です。黒3、5まで計三つしか利きません。
【2図】 コウ立てにおいても「敵の急所は我が急所」の格言は有効で、黒1のハネから行くのが正解です。
白が2なら黒3のツギがさらなる好手。黒5、7、9まで計五つ利きます。
【3図】 黒1に対し白2の放り込みなら、黒3から11まで、さらにもう一つ増えます。
【第2問】 下辺の白地に対して、どうコウを立てますか。
【4図】 黒1のアテコミは白2とつがれ、これ以上のコウ立ては利きません。
【5図】 黒1と下がるのも失敗。次に黒4のツケがあるので白は2と押さえますが、あとは黒3が利くだけです。
【6図】 黒1のツケから行くのが正解。3、5、7と計四つのコウ立てが利きます。
5図と6図で、白地の目数が変わっていないことをご確認ください。それならコウ立てが二つ多い6図が勝るのがお分かりかと思います。
●メモ● 外柳二段は高林拓二六段門下の時代、今では珍しくなった内弟子として暮らした。兄弟弟子に富士田明彦五段、伊藤優詩四段、許家元三段、張瑞傑二段、小池芳弘初段がいる。いずれも俊英として活躍、富士田五段と許三段は新人王戦優勝という結果を出している。