上達の指南
(2)初めはやさしい問題から
(寄稿連載 2007/01/22読売新聞掲載) 実戦以外の碁の勉強といえば「詰め碁」と「棋譜並べ」の二本立て。詰め碁は読みの力をつけるために、棋譜並べは実戦での考え方を学ぶために、どちらも欠かせません。わたしもこどものころから詰め碁と棋譜並べを続けています。
でも、昔は棋譜並べがあまり好きではありませんでした。小さいころは着手の意味があまり分からなかったので、ただ棋譜の数字を追いかけて盤に石を並べるだけ。つまらないのも当たり前です。
でも、詰め碁はすごく楽しかった。パズルのような、ゲームのような感覚でした。何時間でも飽きずに続けられました。最初のうちは、すぐにわかる初級向けのドリルをたくさん解きました。今思うとこれがよかったのかもしれません。
みなさんもふだん詰め碁に取り組むときは、ひと目でわかるくらいのやさしい問題がおすすめです。あまり難しいと、飽きてしまいますからね。
今回は良く知られた基本形をみてもらいます。
【テーマ図】 黒番で、白をしとめるには?知らない人には難しいかもしれません。
【正解図1】 黒1の切り込みが手筋です。
【正解図2】 白1に抱えさせて、黒2の置きが鋭い。白3には黒4です。この眼を取る筋はよくできるのでマスターしておきましょう。黒8まで白は「曲がり四目」の死に形です。
【失敗図】 黒1から3は時期尚早。白4がうまい。
【手順図】 テーマ図は白1以下の定石形からできた形に、黒AとBを足したもの。
【参考図】 黒1の下がりが隅に利くと知っていれば、黒1から3のような一歩踏み込んだ寄せが打てますね。このように死活の力を応用して、得を図ることができます。
●メモ● 鈴木三段の今年の抱負は「一局一局がんばること」。「対局中めげないよう、粘り強い精神力を鍛えたい。タイトル戦に出たい気持ちはありますが、もうちょっとだけいい手を打ちたい、納得のいく碁を打ちたい、という気持ちが強いですね」