上達の指南
(4)応用が利くタケフの筋
(寄稿連載 2010/09/14読売新聞掲載) 定石後における黒白双方の狙いを紹介してきましたが、今回が最終回となりました。
【テーマ図】 白2の飛びから4と掛け、黒5のコスミツケに白6、8と辺を重視する定石です。プロの世界でも一時期、大流行しました。
【1図】 黒からの狙いは1のツケ。「タケフの筋」と呼ばれる応用範囲の広い手筋です。白は2と抜くくらいなので黒3と押さえ、右辺から中央に勢力を築くことができました。右辺の模様を拡大したい時など、特に有力です。
なお、この定石で肝要なことは、「隅はこのままでは黒地ではない」という点です。
【2図】 白1から13まで、隅の荒らしが可能ということです。
【3図】 黒1の押さえならば白2の切りが手筋です。黒3でAは白B、黒3、白Cと破られてしまうので、黒は3とグズんで受けるくらい。のちに白Aの2子取りが残り、小さくない戦果です。
ただし右辺の状況しだいでは△と黒1の交換が悪手になることもあるので、△のタイミングには注意が必要です。
【4図】 白からの狙いは、やはり白1のノゾキです。黒2とついだ時に白4と内をはえば2図と同様の変化となりますが、白3と外をはえば黒4、白5という分かれとなります。
黒2で3の外押さえならば、3図と同様に白Aの切りが筋となります。
(おわり)
●メモ● 鈴木七段が勧める上達法は、自分の打った碁の棋譜をつけること。「局後に手順を思い返すことで、碁盤が頭の中に入ってくるようになります」。碁の上達にはこの「碁盤を頭に入れる」ことが最も大切なのだという。その意味ではやはり、「詰め碁も有力な上達法です」。