上達の指南
(2)開きを用意した絶好点
(寄稿連載 2019/02/13読売新聞掲載)一般的に「見合い」を考えるのは、相手の広い所に踏み込むときです。その際、相手がAと来たらBに開く、またBと来たらCに開ける。このように選択肢を考えておくことです。
このような感覚を磨くと、碁のバランスがよくなります。
【テーマ図】黒19と広げて白20の守りと換わったのは少々問題で、白28と開いて大模様が出来上がりかけています。
黒は左辺に突入する場面ですが、見合いのテクニックを発揮するチャンスです。黒A~Cのどこがよいでしょうか?
【1図】黒1の割り打ちが見合いを視野に入れた絶好点で、正解です。白2と詰めてくれば黒3と開く余地があって、黒7まで黒成功です。
【2図】白2と上方から詰めてくれば、黒3に開けます。次に黒aが絶好なので白4が省けず、黒5の飛びまで。これも白地を巧く消せます。
このように黒3の開きと、1図の黒3の開きを用意しておいたのが「見合い」の原理です。
【3図】割り打ちを一路ずらして、黒1はどうでしょうか。白は2と広い方から詰め、黒3と開くしかなく、白4から6で黒は十分な態勢を保てません。
【4図】黒1とかかるのは無謀というもので、白2といっぱいのはさみが見え透いています。黒3の飛び以下白8まで、左上一帯の白は模様というより、確定地に近くなってきます。
割り打ち一つで、こんなにも形勢が大きく変わるのです。
●メモ● 昨年、鈴木七段のご主人・林漢傑八段がSGW杯中庸戦で優勝を飾った。長女の優月ちゃん(4歳)が「うちのパパ優勝したんだよ」と友達に言いふらし、ご機嫌であった。鈴木七段も予選で3連勝し、16人の本戦中13位と健闘した。「これを契機に碁に興味を持ってくれれば――」が夫婦の願い。