上達の指南

鈴木歩七段の「見合いのテクニック」

(4)中盤の着点発見効果大

(寄稿連載 2019/02/27読売新聞掲載)

 「見合いのテクニック」最終回も、中盤戦における見合いの戦法です。

 中盤戦で見合いの着点を見つけるのは、序盤より難しい面があります。ただし、発見したときの喜びは布石段階の比ではなく、また効果も絶大です。

 【テーマ図】黒17と高く開き白18の締まりまで、ゆっくりした布石です。白18を怠ると、黒18の掛かりが絶好点で黒理想形になります。

 黒19といっぱいに詰めたのは、狙いを持った一着です。

 黒21、23と迫ったとき、白24と開いたため、黒にチャンスが巡ってきました。

 黒から見合いの一手は?

 【1図】黒1の置きが、見合いを含んだ厳しい一手です。

 白2の押さえなら黒3、5と渡ります。白は6と飛ぶくらいで、黒7から9とケイマして黒絶好調。その上、黒aの狙いも残っています。

 黒1に白3の押さえなら、そこで見合いの2の点に押して、これは黒うますぎます。

 【2図】黒1に白2と変化すれば、これも黒3と渡ります。白4、6とモガいてくるなら黒7の引きが適切で、白8以下黒15のオサエまで、白は丸取られの格好です。

 【3図】黒1の開きは大場ですが、すかさず白2のノゾキ一本で補強されます。白4、6とツケ伸びられては黒失敗です。

 【4図】黒1の押さえはつまらなく、白2から4とはっきり生かしては失敗です。

(おわり)

●メモ● 鈴木七段は、昨年18勝13敗と五つの勝ち越しだった。しかし、半目負けが4局。一昨年も2局が半目負け、今年も新年早々に金子真季二段に半目負けを喫している。足掛け3年で半目勝負は7連敗。「もう少し寄せの勉強をしなければ――。今年は“半目勝ち”が目標です」

【テーマ図】
【1図】
【2図】

【3図】
【4図】