相手の着手についつい弱気になって、知らず知らずのうちにお付き合いしていることはありませんか。これでは勝つのは難しいでしょう。本講座で、よく打たれがちな弱気の虫を取り払いましょう。

　【テーマ図】白１０のスベリに黒１１と受けたところです。ここで白はＡの開きが定石ですが、初段クラスの方の対局では、白１２のハイがよく見られます。

　さて、これに対する黒の応手がテーマです。

　【１図】黒１と受ける方が、存外多いのです。これはまさしく「弱気のお付き合い」です。

　ひとまず白は２と開きますが、△のハイと黒１と受けた交換は、白が２０目近くの価値がある手を打てた理屈で、黒大いに利かされです。

　しかも黒３と他へ転じると、白４の詰めが厳しい。黒５と応急処置をとると、白６となってまた黒は損を重ねます。といって黒５で手を抜くことはできません。

　【２図】手を抜くと白１のノゾキが強烈です。黒２以下白５となっては、早くも黒負けコースでしょう。

　【３図】△のハイには、隅のお付き合いをせずに黒１と開くのが適切です。白２に黒３以下７となると、△と黒１の交換は黒が大いに得です。また、黒Ａがよい狙いになります。

　【４図】これを嫌って、前図の白２で白１などへ先着すると、黒２から４の攻めが厳しく、黒Ａ、白Ｂ、黒Ｃで白は命の心配までありそうです。

●メモ●　高橋七段は、東京都出身の４７歳。石田芳夫二十四世本因坊門下。１９９１年入段、２００２年七段。第１７期棋聖戦二段戦、第２０期三段戦、第２１期四段戦準優勝。小学校５年生の頃、「土曜木谷会」で勉強した後、石田二十四世本因坊の指導を仰ぎ門下になる。