上達の指南
(3)厚い壁に押し付け攻勢に
(寄稿連載 2018/05/16読売新聞掲載)「弱気のお付き合い」を回避する一つの策は、慌てず、騒がず、ひと呼吸して状況をよく見分けることです。この間に、弱気の虫を抑え込めれば着手が伸び伸びしてきます。
【テーマ図】黒の大ゲイマジマリに白24と迫られたところです。この打ち込みにお付き合いは厳禁で、一呼吸おいて状況をよく見ましょう。すると右下に黒の鉄壁があり、この壁を生かす打ち方をしなければならないことに気付きます。
【1図】黒1とこすんで隅を確実な地にする。これが弱気のお付き合いです。白2の開きに、攻めるならば黒3、5が考えられますが、白6と逃げられてはせっかくの右下の鉄壁が泣いてしまいます。
【2図】黒1の挟みは1図よりも強気の姿勢ですが、まだお付き合い気味です。
白2の肩突きから4のツケがサバキの筋です。
黒5の引きに白6の飛び以下白10まで、アッという間に白はサバキ形です。一方、黒は1、9と下方の強固な壁との間合いがやや物足りません。
【3図】黒1のケイマが攻勢の一手で、正解です。白2のケイマに黒3のボウシで圧迫し、黒5と上辺に開く。白を自らの厚い壁に押し付け、黒は理想的な展開です。
【4図】黒1に白2、4とツケ伸びるのは、黒5のノビが急所です。白6の備えに黒7、白8の交換から前図同様に黒は上辺へ開きます。これも黒の壁がほどよい働きをしています。
●メモ● 高橋七段は4年前から沖縄県北部の今帰仁(なきじん)村に夫人と一緒に住んでいる。自宅から車で10分くらいの所に海岸があり、白い砂浜と美しい海を一日中眺めていても飽きないという。車は生活に欠かせないため、やむなく免許を取ったが、免許を取得してみると運転が大好きになった。