上達の指南

武宮正樹九段の「踊る囲碁」

(1)基本的な石の動き覚える

(寄稿連載 2015/02/03読売新聞掲載)

 ダンスを始めて今年で9年目になります。囲碁の成績もよくなりました。ダンスと囲碁には、共通する考え方や動きがたくさんあるようです。そこで囲碁を覚えて間もない方から初段を目指そうという方までを対象に、ダンスから学びつつ、接近戦について解説したいと思います。
 ダンスは音楽を感じて動きます。どう感じてどう動くかは自由。しかし基本的な動き、身のこなし、ステップを習得してこそ自由になれるのです。囲碁も無限の世界で、なかなか自由になれないと思っていませんか。ダンスと同様、基本的な石の動きを覚えれば、どんな状況にも対応できるようになるのです。

 【1図】 黒1とつけられたら、白2とはねる。これは最も基本的な石の動きです。

 【2図】 白1と伸びると、黒2とつながれます。次に黒からA、Bどちらに打たれても面白くありません。この折衝は黒に軍配が上がります。

 【3図】 1図に続いて黒は1の伸び。白2には黒3の押さえ。これも基本的な石の動きです。

 【4図】 3図の黒3で、黒1は働きの悪い「アキ三角」です。この黒1の価値を下げている点が、△のハネと▲を交換した効果なのです。

 【5図】 白1も黒の形を崩すので考えられる手ですが、基本は1図の白2です。

 【6図】 白1はよくない。黒2と打たれて白の形に傷ができてしまいます。

●メモ● 武宮九段と言えば、ご存じ「宇宙流」。碁盤全体を宇宙に見立てたおおらかで華麗な棋風には、日本ばかりではなく、世界中にファンは多い。本因坊通算6期、名人1期など数多くのタイトルを獲得。世界囲碁選手権・富士通杯は第1回から2連覇。テレビアジア杯は第1回から4連覇。

【1図】
【2図】
【3図】
【4図】
【5図】
【6図】