上達の指南

武宮正樹九段の「踊る囲碁」

(2)タイミングと間を大切に

(寄稿連載 2015/02/10読売新聞掲載)

 タンゴは、同じ状況から右回り、左回り、そしてまったりしたり、前に進んだりと、どんな動きも選択できます。囲碁と同じで、その人の感性に任されています。でも、ただ好きなようにばたばたと動くのでは上手な踊り手とは言えません。上手な人ほど動きをためたり、すーっと動き始めたり、そのタイミングと間がよいのです。

 【1図】 前回の続きの場面。白1と押してきたら黒2とはねます。「2子の頭をたたく」のも、基本的な石の動きです。白3と切ってきたら、黒はどう打てばよいでしょう。

 【2図】 黒1と当てるのは、白4まで白の方がよい形になります。

 【3図】 黒1と右から当てても、白4までやはり白がよい形。級位者はすぐに当たりを打ってしまいますが、相手に逃げられてみると、相手の方がよい形になることが多いのですね。

 【4図】 ここはすぐに迫らず、黒1と間をとるところです。白4までの結果を、3図までと比べると、黒1が働いたよい場所にあることがお分かりいただけるでしょう。

 【5図】 ▲と△が加わった実戦形で応用してみましょう。白1に黒2は働いた守り。白Aには黒Bでカケツギの形です。白3、黒4のハネは基本ですね。

 【6図】 白1には黒2とAの切りを強調して4と守るのが石の調子。この後、白は状況に応じてBかCかを選びます。

●メモ● 武宮九段は2009年、藤沢秀行名誉棋聖をしのぶ会で、「ご遺族から頼まれて」、ダンスを披露した。「秀行先生とは親しくさせていただきました。先生もダンスが大好きで、私のダンスも楽しんで下さった。しのぶ会では、先生が好きな曲、ベサメムーチョで踊りました」

【1図】
【2図】
【3図】
【4図】
【5図】
【6図】