上達の指南

佃亜紀子五段の「序盤で勝つ5子局」

(2)白を攻める姿勢が大切

(寄稿連載 2013/07/02読売新聞掲載)

 5子局の場合は、序盤から積極的に白を攻める姿勢が肝要です。堅く受けているのも悪くはありませんが、必然的に細かい形勢に導かれます。これは白の思うつぼです。寄せ勝負となっては、腕がものを言うことになってしまいます。

 【テーマ図】 右上の形は前回出ました。白2のカカリに黒3と挟み、白6にも黒7と挟みました。積極的でいいですね。白16までは定石です。黒17の大場から進行し、白28と下辺をすべったところ。
 ここで黒はどう決めるものでしょうか。

 【参考図1】 黒1のノゾキから3のツケは、定型のようなものです。黒9のカケツギになります。白も安定しました。黒は右下を守った感じが否めませんが、まあまあでしょうか。

 【参考図2】 最近、プロの対局でも時々見かけるようになりましたが、黒1のコスミが非常に厳しいのです。
 白2に黒3と突き当たり、白4に黒5とこすみつけます。ひと昔前なら怒られそうなゴリゴリ路線ですが、今や有力な打ち方になっています。これで白は打つ手が見あたりません。碁は進化するものなのですね。

 【実戦図】 黒1のノゾキから黒3と突き当ってきた人がいました。黒5と押さえても、この形は非常に味が悪く、スカスカしています。とてもお勧めはできません。白6とはわれて、黒が不十分です。

●メモ● 佃五段は2005年、日本将棋連盟関西本部所属の伊奈祐介六段と結婚。伊奈六段は小林健二九段門下で、囲碁は2級くらいという。その妹さんは渡辺明竜王夫人。佃五段の2歳上の姉、優子さんは第38回全日本女流アマ選手権戦で優勝している。ちなみに第39回の優勝者は大沢奈留美四段。

【テーマ図】
【参考図1】
【参考図2】
【実戦図】