上達の指南

佃亜紀子五段の「序盤で勝つ5子局」

(3)手を抜きつつ大場に先行

(寄稿連載 2013/07/09読売新聞掲載)

 白のカカリに対し、堅実に受けていて悪いことはありませんが、手を抜いてどんどん足早に大場に先行するのも有力な戦法です。今回はそういう打ち方を紹介しましょう。

 【テーマ図】 白1に、黒2と右辺で三連星に構えます。
 白3に黒4とひとつこすんで、白5と三々に入らせてから、黒6と今度は上辺で三連星です。白7から9の挟みにどう対応しますか。
 黒10と詰めます。白は11、13とツケ切ってさばきを図ります。

 【参考図1】 私は黒1の下がりを勧めています。これが厳しいのです。
 6子の置き碁ならAのコスミが分かりやすいと思います。

 【参考図2】 サバキの常とう手段である白のツケ切りに対しては、黒1と当ててから、3と上に伸びるのが立派な受け方です。
 白4はこの一手。黒5の当てから7とはねます。黒9までは一本道。次に白Aなら、黒B、白C、黒Dと当てて踏ん張っています。白は分断されて苦しくなりました。

 【実戦図】 黒1、3と続けて当て、5とつぐのは最も俗な打ち方で、よくありません。黒7、9と厚く塗りつけても、白は10まで先手で少なからぬ地を稼ぎ、12と大場に先着します。
 こうなってみると、黒9の強大な壁もぼかされて働きにくくなっています。一本取られたと言わざるを得ません。

●メモ● 佃五段の昨年の成績は9勝12敗。今年は6月までで4勝7敗。ファンとして奮起を期待したいところだ。今年4月からは若手の指導にあたる院生師範を務めている。日本棋院関西総本部の院生は12人。「院生を強くするだけでなく、自分ももっと強くなりたい」と話している。

【テーマ図】
【参考図1】
【参考図2】
【実戦図】