上達の指南
(4)中盤で求められる大局観
(寄稿連載 2013/07/16読売新聞掲載) 5子局で勝つ近道は序盤での先制攻撃と、これまで繰り返して言ってきました。しかし碁に勝つには、それがすべてというわけではありません。序盤で優位に立っても、中盤では形勢判断とか大局観が求められます。今回はそういうお話をしましょう。
【テーマ図】 前回の続きの局面。中盤に差し掛かっています。△と大場に先行し、黒の強力な壁をぼかしにきました。左辺をどう考えるべきでしょうか。
【参考図1】 黒1と押さえて白2と渡らせてから、3とかける人が多いのです。白は4と割り打ち、黒5と押さえさせてから6と開きます。こうなると、左下の黒地は縮こまって発展性に乏しく、早くも碁にされている感じがあります。容易には勝てないでしょうね。
【参考図2】 単に黒1とかけるのが正解です。白2に黒3と押さえます。白4のカカリに黒5といっぱいに挟み、黒石がすべて躍動してきました。大きいのは左辺で、隅はどう打ってもたいしたことはないという大局観です。
【実戦図】 黙って黒1と挟みました。白2に黒3の押さえがつまらない。白4の打ち込みに黒5と下がり、白6とかかられては白の思うつぼです。白10とくつろがれては、すでに容易ならざる形勢です。大勢に遅れたのです。
正しい大局観を身につけると、囲碁がさらに楽しくなり、どんどん上達できるはずです。
(おわり)
●メモ● 佃五段には女の子が2人。6歳の長女は今年、小学校に入った。次女は2歳。「保育園通いが1人になったので、少しずつ勉強するゆとりができてきました。数年間のブランクを早く取り戻したい」。主婦としての当面のテーマは「みそ汁の味を安定させたい」。