上達の指南
(4)手段を残さない打ち方
(寄稿連載 2017/07/18読売新聞掲載) 今週は相手の地を荒らす寄せの手筋をご紹介しましょう。地だと思っている場所には、案外手段が残っています。手段を残さない打ち方も大事です。
【第1問】黒番です。右上の白地をどのように寄せますか。
【1図】黒1のハサミツケは失敗です。黒3と渡ることはできますが、踏み込み不足。黒からはもう少し良い寄せ方があります。
【2図】黒3と頑張っても白4と下がられて後続手段がありません。黒5以降、攻め合いは白勝ちとなります。
【3図】黒1が手筋。形の急所です。白2のツケは無理で、黒3と割り込んで白3子を取ることができます。これは白大失敗です。
【4図】白2と受けることになりますが、黒3が好手で、黒7まで白地を大きく荒らせます。
【第2問】第1問から少し遡った場面を考えましょう。白はどう受けるのがよいでしょうか。白Aと打ちたくなりますが、黒Bと打たれて、4図の手段を残すことになります。
【5図】白1のコスミがこの際のよい受け方です。黒2の下がりなら、黒から4図の手段がありませんので、白は手を抜くことができます。
【6図】黒は、5図では後手なので、黒2とアタリにして先手を取るぐらいです。白は4図の手段を封じ、Aと切り取る手も残りました。4図と図は大差ですね。
知っておくと便利な手筋は、まだまだあります。これからもたくさん身につけていってください。(おわり)
●メモ● 鶴山七段は8歳、6歳、3歳の男の子のパパでもある。「平日の昼間から一緒に遊んでいるので、近所の方に無職かと心配されます。棋士だとわかると見直してもらえますが」。最近は毎朝6時前に起こされ、クワガタ捕りに同行することも。前日に詰碁を5題出し、解けたら行く約束なのだとか。