上達の指南
(1)次の一手 三つのテーマで
2016/04/26 中盤戦でどこに打つのが良いか、皆さんも迷うことが多いと思います。そんな状況で参考にしていただきたい考え方を紹介しましょう。
盤面を見渡し、〈1〉自分に弱い石があるかどうかを確認〈2〉相手に弱い石があるかどうかを確認〈3〉地の大小――この三つのテーマに沿って考えるのです。
【テーマ図】 安達三段とは研究会が一緒で、よく打ちます。早見えで、鋭い感覚の持ち主です。
白1の消しが浅いか深いかを判断し、対策を立てます。私は「深い」と判断し、攻勢に出ました。
【1図】 黒番です。局面は、碁の骨格ができつつあり、中盤に差しかかろうとしています。しかし、まだ完全な一段落とは言い切れません。次の一手を三つのテーマに沿って考えてみましょう。
【正解図】 黒1のケイマがこの一手でした。
▲2子は見るからに不安定です。このままでは相手に付け入られてしまいます。なんとかしなければなりません。△3子はとりあえず形になっていますが、万全ではありません。この3子を弱い石にすれば黒が主導権を握ることができます。そしてお互いの地の増減。黒1はすべてを満たしているのがお分かりいただけると思います。
白2の飛びには黒3で十分。この飛び合いは左辺の白模様を消しており、黒に利があります。
【参考図】 黒1のケイマは部分的には好点です。しかし白2と黒3の交換を許した形がつらすぎます。
こうなると白2が三つのテーマに沿った地点へと変わっています。黒1は相手の弱い石を攻めるという視点が欠けていたのでした。
●メモ● 山本五段は鳥取県倉吉市出身。35歳。日本棋院関西総本部所属。後藤俊午九段門下。鳥取県で連続開催された今年の棋聖戦七番勝負第2、3局では大盤解説を担当。軽妙な話術でファンをわかせた。7歳年下の夫人との間に3歳の長女がおり、今は広島市内で暮らしている。