上達の指南

楊嘉源九段の「韓流の分析」

(3)抵抗許さぬ厳しい肩ツキ

(寄稿連載 2006/08/21読売新聞掲載)

 韓流はどんどん進化する。ひところは韓国の若手が世界戦で一人勝ちの状態だったが、最近は中国の若手も躍進して韓国に迫る勢いだ。中国はローティーンの少年隊が強い。こどもたちは韓流を取り入れるのも早い。研究して、自分たちの得意技にしてしまう。いま、若手は韓中伯仲の時代だ。

 【テーマ図】 割り打ちの白石に、すぐ黒1と肩を突くのが最新の韓流で、中国でも流行の戦法だ。白Aの押しは黒Bで右下の黒模様が大きくまとまってまずいから、白はBとはうしかない。

 【1図】 白1、3とはうのに、黒4と押さえ込んでしまうのが予定の行動だ。白5にも7のところの断点を放っておいて、黒6と詰める。白7の切りは歓迎なのだ。黒8と当て、10のハイ。白11から動くが、黒12のカケツギから、白13、黒14、白15と飛び合ったあと、黒16と黒は幸便の一着。自然に黒地が増える仕掛けになっている。これは黒が十分戦える変化でしょう。

 【2図】 Aの切りは狙えないので、白は5に二間ビラキする。当初は黒Aとついでいたが、最近は黒6の肩ツキに変化した。黒Aのツギを省いて、黒12の飛びに回る。これが最新の型で韓国で何局も打たれている。右下からの模様は相当スケールが大きい。

 【3図】 白1から3に飛ぶのは黒4、6と押し切られて、黒がやや厚くなる。このあと黒Aツメも立派な手で白に不満が残る。このため白3の飛びは最近はほとんど見なくなった。また、白3でBの曲げは、黒8がピッタリで黒がいい。右下方面の間合いもよく、黒が望むとおりの想定図だ。

 テーマ図の黒1の肩ツキは、右下方面を広げるのには有力な新手と言える。相手に抵抗の余地も少なく、アマチュアがまねをしても大きなリスクはないでしょう。

●メモ● 楊九段と同世代の三村智保九段、趙善津九段、柳時熏九段は、若いころの研究会仲間であり、ライバルだ。若手が台頭して20代がタイトルを独占する勢いだが、楊九段たち30代もこのまま黙ってはいられないだろう。

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】