上達の指南
(4)破門もののツケフクレ
(寄稿連載 2014/12/16読売新聞掲載) この2、3年、有望な新人の台頭は目覚ましいものがあります。日本棋院中部総本部の伊田篤史八段、関西棋院の村川大介七段は7大タイトル戦の挑戦者になりましたし、この対局の一力七段、許二段も素晴らしい活躍ぶりです。
僕もこれらの若手に負けず、前進あるのみです。
【局面図】 黒15までは、またかと思うほどよく見かける布石です。白16の打ち込みもおなじみでしょう。これを白イと下がるのは利かされで、黒15が軽く捨てやすくなります。目を見張るのはこの後です。
【実戦図】 黒17、19のツケフクレとは何と強情な手でしょう。黒21と愚形につがされ、昔なら「破門もの」でしょう。
【変化図1】 黒17では1のコスミも考えられ、白6までとなりそうです。これは黒もはっきりしません。
【変化図2】 白18では1の伸びもありそうです。黒10はこの下がりが正しく、Aは異筋です。白15まで、白は下方の眼形が薄いのが気になります。
実戦図に戻り、白22のツケに黒23と伸びましたが、これで24とはね、白23、黒ロ、白25、黒イ、白29、黒ハと激しく打つのも考えられます。黒37とポン抜いて、黒が非常に厚く、やや打ちやすいと思います。
実戦図、変化図1、2のいずれも世界戦で実戦例があります。若手がよく勉強していて、頼もしい限りです。
(おわり)
●メモ● 結城九段は2年前から水泳を始め、週1回、神戸の自宅近くのプールに通っている。心身ともにすっきりして、リフレッシュできるという。これまで最も泳いだのは1キロで、息が上がりそうだったとか。「まだクロールしかできません。ほかの泳ぎ方も練習します」
第39期新人王戦
白 二段 許家元
黒 七段 一力遼