上達の指南
(2)壮絶な戦い制し1200勝
(寄稿連載 2017/12/12読売新聞掲載)今年の成績からは少し気が引けるのですが、僕の1200勝達成局を紹介させていただきます。三根四段は29歳。日本の囲碁界の将来を背負って立つ一人に育ってほしいですね。
【局面図】△と押しました。黒の応手はイとはねるか、ロと飛ぶかの二者択一です。
【変化図1】黒1には白2とはね、黒3と切る一手です。白4の切りから6と放り込みます。ここで黒Aと抜くのは、白10と当てられて黒のハマリになります。黒7から白10まで、2子ずつ抜く分かれになるでしょう。40人ぐらいのプロに聞いたところ、評価は全くの互角でした。
【実戦図】黒1の飛びに白2の伸びから4と挟みました。
黒5の打ち込みが厳しかったと思います。白6と押さえ、黒15の切りから壮絶な戦いが始まりました。
【変化図2】実戦図、白30の切りで31と打つのはどうか――。黒2とはねる一手。白7に黒8と切り、白9に黒10と放り込んで、タネ石の白5子を取ります。これは終わりです。
実戦図、白30に、黒31から白42までは一本道でした。黒43の生きは絶対。白は下辺を大きく盛り上げましたが、黒は左辺の白8子を丸ごと取り込みました。こうなっては、黒がはっきり優勢です。上辺、黒Aのツメも厳しいですね。
白が少し無理気味と思います。緊張した戦いでした。
●メモ● AI(人工知能)の快進撃はとどまるところを知らない。結城九段はどう思っているのか。「僕は2回対戦して連敗です。現在、プロが2子置いてもどうか、という声が出始めています。中盤までにリードして、悪手を引き出さなければ勝つチャンスはありませんね」
第43期名人戦予選
白 四段 三根康弘
黒 九段 結城聡