岡目八目
(5)成長した弟子たち頼もしく
(寄稿連載 2013/12/10読売新聞掲載)2007年、文化交流に力を尽くしたとして、日本の外務大臣表彰を頂きました。囲碁普及にかまけ、苦労をかけた妻へ少々の恩返しが出来ました。この表彰と同様にうれしいことは、頼もしい弟子たちが育ってきたことです。
今年9月、仙台市で開催された第34回世界アマチュア囲碁選手権戦のスペイン代表、アルベル・サンチェス君は5勝3敗の勝ち越しで参加56人中17位。ベスト20位内を達成しました。
ホセ・マムエル君は、10年前から中学校の課外授業で囲碁を教え、県から予算が出るという立派な活動を続けています。
母親がバルセロナの大学の数学科で囲碁を覚えたというオスカル・バスケス君は10歳の少年。期待の星です。5歳の頃から教えていますが、今では日本のアマ6段くらいの棋力になりました。来年行われる「ヨーロッパU12(12歳未満)大会」の優勝候補に挙げられています。
私の夢は、数千人いる弟子の中から私を負かす者が出てくれることです。まだ2子を置くくらいの差がありますが、いずれオスカル君がその夢をかなえてくれると思います。
このように盛り上がってきたこの時期に棋聖戦対局が実現したことは、スペイン囲碁界にとって幸運なことです。佐藤悟大使をはじめ日本大使館の皆さんにも大きな力を頂きました。我々スペイン囲碁協会は出来る限りの協力をさせてもらいます。
棋聖戦を間近で見ることによって、スペイン、そしてヨーロッパの囲碁界が大輪の花を咲かせることを楽しみにしています。
(スペイン囲碁協会名誉会長)(おわり)