岡目八目
(3)教育現場に囲碁の時間を
(寄稿連載 2011/11/29読売新聞掲載)子供たちへの囲碁普及で最も効果的なことは、教育現場に「囲碁の時間」が出来ることです。最近、東京、慶應、早稲田、東邦、琉球大学などで囲碁が正式な単位に認められたことは朗報です。しかし小・中学校でとなると、まだまだ垣根が高いのです。
母校である慶應では、幼稚舎で2クラスの囲碁授業をさせていただくことが出来るようになりました。大学の囲碁部員が協力してくれています。これは慶應の「半学半教」の教えでもあります。昨年は普通部(中学校)囲碁部の合宿に、大学囲碁部員と一緒にコーチとして参加しました。
高校囲碁部にも、毎年、指導に行っています。高校生ともなると棋力も上がっているので、囲碁部OB2人とともに教えています。実は高校囲碁部は55年前、私たちの時代に創部したのです。指導にはいきおい力が入ります。
もう一例、紹介したい囲碁の教育現場があります。
千葉県八千代市の八千代台西中学で行われているユニークな「夢タイム」です。囲碁、将棋、書道、茶道、能、料理、絵手紙の7科目の中から生徒がやってみたいものを選んで受講できるのです。「地域の力を生かす」という学校側の考えで、地元にゆかりのある講師が、年度初めにプレゼンテーションを行って生徒にPRします。
今年度は3年生130人のうち、囲碁を希望した生徒が32人に達しました。うれしいことです。ほぼ全員が囲碁は初めてですが、囲碁が受け入れられやすいことを実感しました。年に13回、1授業50分ですが、義務教育の授業に取り入れられたのは意義深いことです。
(山下塾・塾長)