岡目八目
(4)囲碁を通じ家庭で会話を
(寄稿連載 2011/12/6読売新聞掲載)関西棋院前理事長の塩川正十郎さんが「もっと家庭の中で碁を打つようにしよう。いろいろな社会問題があるのは、家庭に会話がないからだ。囲碁は上品で教育上もよろしく、お金がかからない」と、よくおっしゃっていました。
大賛成です。私は地元の「学童保育」の場でも指導にあたっていますが、時間内に全員に囲碁を打たせています。我を忘れ、友達と碁に没頭する姿を見るにつけ、教育的な効果は十分あると思います。さらに、「NPO法人囲碁文化継承の会」から提供してもらった九路の紙碁盤セットを子供たちに持ち帰ってもらい、家族と碁で会話が出来るようにしています。今までに5000セット余りを配りました。
近年、さまざまな原因で学校に行けなくなった児童や、家庭内暴力などの社会問題も多く、当事者は改善への道を色々探っていると思います。そのような子にぜひ、囲碁を勧めたいと思います。不登校になって、山下塾に来るようになり、大声で論語の素読をし、囲碁で勝ったり負けたりする中で、学校へ行き出した子もいます。
吉原由香里五段を客員教授に招いた地元の東邦大学からも関心を寄せていただき、3年前から「東邦祭」で、200人規模の子供囲碁大会を開催できるようになりました。今年は囲碁大会に加え、「されど囲碁」をテーマに、県内のこども大会から巣立ち、立派な社会人となったビジネスマン、医師、弁護士、女子大生などによるパネルディスカッションを企画しました。囲碁と出会って立派な社会人となった若者たちを通じて、囲碁の魅力を伝えたいとの思いからです。
(山下塾・塾長)