上達の指南
(2)自分の石囲まれぬように
(寄稿連載 2005/03/28読売新聞掲載) 囲碁に接する機会があったのに続けなかった、という方の一番の理由は、「9子も置いて打ったのに、盤中ほとんどの石を取られた」ということのようです。9子というと大変なハンデに感じますが、ルールを覚えたての時、少し強い方と打てば、勝つのは大変です。しかし、少しずつ要領をつかんでいけば勝てるようになり、置き石(ハンデ)も減っていきます。
【基本図】 白1、3のカカリに黒2、4と隅を受けたのは良い打ち方でしたね。白5は上手の常套(じょうとう)手段です。
【1図】 (地を囲いにいく)
初心の方との実戦譜です。黒1は良かったのですが、黒3から5と地を作りにいったのは、作戦ミス。黒の一団が死ぬことはありませんが、序盤早々に石を囲まれては白が強くなり、イやロなど、次から次に攻撃され、それこそ「盤中ほとんど取られた」ということになりかねません。
【2図】 (真っすぐ伸びる)
黒3と伸びるのが良い手です。白4以下、白が近づいて打ってくるのには、黒も真っすぐに受けておくのが大切。白4をイなどと離して打てば、黒も7と離して打つ要領です。白10と遮断されたら、黒11と根拠を確かめて不安はありませんし、左右の白を大きく囲む感じで、1図とは全く違う景色ですね。序盤では、白に閉じこめられないよう中央に進出することを心がけたいものです。
【3図】 (これも正解)
黒1とこすむ形も、非常に分かりやすい。イも同様ですが、▲の黒石と連絡しながら頭を出していく手なら、どれも正解と言えます。白2には黒3、白2をロなら黒ハの要領。また、白2を4なら黒2で、中央(天元)の石と握手できれば、やはり白を大きく囲む形になっているはずです。
相手の石を囲んで有利に打ち進めるためには、自分の石が囲まれないようにすることが大切です。