上達の指南
(3)「眼あり眼なし」で勝負あり
(寄稿連載 2011/10/04読売新聞掲載) 僕が「四路盤こそ入門に最適」と考える理由は、問題を解いているうちに、自然と碁における大事な要素を理解できる点にあります。今回のテーマである「眼あり眼なし」はその典型例。正解を得ると同時に「眼の重要性」を再認識していただければと思います。
【第1問】 固定観念からの脱却が必要です。
【失敗図】 思わず黒1とつぎたくなりますが、白2とつがれると黒の息が詰まり、黒3、白4まで全滅の憂き目に。
【正解図】 当たりになっている石に構わず、黒1と割り込むのが柔軟な発想。白は2と取るよりないのですが、ここで黒3と下がるのが第二の手筋となります。
2の上と左が見合いとなっているので、白はゼロ眼。対して黒には一眼があるのでこの攻め合いは「眼あり眼なし」で黒の勝ちとなりました。
【第2問】 初手を選択したのち、手筋と手順の鮮やかさで仕留めます。
【失敗図】 黒1の押さえは白2と切られ、黒3、白4までのセキ。双方アゲハマもなくジゴとなっては失敗です。黒3で4なら白3で、やはりセキとなってジゴです。
【正解図】 黒1のブツカリが正解ですが、続く黒3、5の連続ホウリコミを発見できるかどうかがポイント。白6までと換わってから黒7と眼を確保し「眼あり眼なし」の攻め合い勝ちです。
<泉美からのひと言> 次回のテーマは「コウ争いのテクニック」です。皆さんにとっては「目からウロコ」の内容となるかもしれません。お楽しみに。
●メモ● 張栩棋聖の四路盤問題のストックは「類題や派生問題を含めれば、すでに400問以上に達している」という。入門者や初心者向けのものもあれば、プロでも容易に正解にたどり着けない超難問も。正解手順が20手を超えるものもある。四路の空間に無限の変化が内包されている。