上達の指南
(6)パズル的な要素が凝縮
(寄稿連載 2011/10/25読売新聞掲載) 泉美です。四路盤は「対局」としての囲碁ではなく「パズル」としての囲碁です。
圧倒的に広い十九路盤で大局観や感覚を磨くことも大切ですが、局所的な部分にも囲碁の魅力はたくさんあります。四路盤にはそうした囲碁のパズル的要素が凝縮されていると言えるでしょう。
【第1問】 盲点にはまってしまうと――。
【失敗図】 黒1、白2はともに絶対。ここでどう打つかが本題のポイントなのですが、黒3の押さえは白4、6でセキ。黒の1目負けです。
【正解図】 黒1とへこむのが気がつきにくい好手。白2に黒3と放り込み、「眼あり眼なし」での攻め合い勝ちです。
【第2問】 手段と手順のコンビネーションで解決してください。
【失敗図】 黒1、白2は絶対ですが、ここで手筋風に黒3と白4を換わってから黒5とコウに行くのは、白6のツギが冷静な好手。黒7に白8とコウを取られ、黒にはコウ立てがなくつぶれです。
【正解図】 黒1とすぐにコウを仕掛け、白2と取らせてから黒3、5の連続放り込みが手順の妙。それから黒7とコウを取り返せば、今度は白にコウ立てがないので、黒の勝ちです。
<張栩からのひと言> 四路盤の世界はいかがだったでしょうか。こんなに狭い盤面であるにもかかわらず、多くの手段と変化が潜んでいることに驚かれたのではありませんか。ストックしている問題はまだたくさんあります。またお会いできればと思います。
(おわり)
●メモ● 張栩棋聖は王座のタイトルも併せ持っている。4連覇をかけた王座防衛戦が20日、開幕した。挑戦者は羽根直樹碁聖。「平成四天王」と呼ばれ、かねてよりライバル関係にあった両者だが、意外なことにタイトルをかけて戦うのは初めて。第1局は張王座が白番3目半勝ちした。