上達の指南
(4)コウの「取り番」が重要
(寄稿連載 2011/10/11読売新聞掲載) 張栩は自作の四路盤問題の入門・初級者向けのものを、5歳になる娘の心澄(こすみ)に出題しています。最初は当たりとポン抜きくらいしか分かっていなかった心澄でしたが、問題を解くことを繰り返すことで、自然とウッテガエシや石の下などを理解するようになりました。
さて、今回は「コウ」がテーマです。コウ争いにおける重要な鉄則を再確認していただければと思います。
【第1問】 単純ではありますが、細心の注意を払って。
【失敗図】 すぐに黒1とコウを取るのは失敗。白2、黒3ののち白4と取り返され、黒はどこにも打つことができないのです。つぶれてしまいました。
【正解図】 黒1の下がりが正解です。白2と換わってから黒3とコウを取れば、失敗図とは逆に、今度は白に打つ手がなくなっているのです。
【第2問】 これぞコウ争いのテクニック。
【失敗図】 黒1、白2を換わってから黒3と当てれば、コウに持ち込むことはできます。しかし白4と取られてみると、黒に打つ手がありません。
【正解図】 黒1が正解。白は2とコウを取るよりありませんが、このタイミングで黒3、白4を決めるのです。それから黒5とコウを取り返し、白を全滅させることができました。
<張栩からのひと言> 四路盤はすべてが実戦解決です。詰碁だと「コウ」に持ち込んだところで正解となりますが、四路盤では「コウの取り番」が非常に重要です。これは十九路盤における実戦でも同様。今後は取り番にも神経を使ってください。
●メモ● 泉美六段は現在、手合休場中。第二子、心治(こはる=1歳)ちゃんの育児に専念するためであるが、本人は「やっぱり囲碁は私にとって掛け替えのないもの。子どもに手がかからなくなって、手合に復帰できる日を楽しみにしています」と話している。