上達の指南
(7)スキを突いて分断に成功
(寄稿連載 2016/12/27読売新聞掲載) 佐藤直男先生(故人、九段)門下の芸兄、結城さんとはこれが25回目の対局です。最初は1勝10敗からのスタートでしたが、この対局に勝って9勝16敗となりました。まだまだ借りが大きいですが、五分に戻すことが大きな目標です。
【局面図】中央に△と三間に進出した形にスキありと見て、黒1(41手目)の攻めを決行しました。
【実戦図】白1のツケから3の切りまではこうなります。
【変化図1】実戦図の黒4の伸びは大事な手です。黒1と当てるのは白2、黒3の抜きに白4で連絡されます。黒の攻めは空転でしょう。
実戦図に戻り、白5とシチョウに抱え、黒6の当てから8とついで、分断に成功しました。
【変化図2】実戦図の白5で1と伸びて頑張るのは、黒2のコスミになります。これは白のゲタを防ぎつつ、ワリコミを狙った好手です。白3の棒ツギに黒4の押しから8の並びとなれば、はっきり黒良しでしょう。
実戦図、白9のカドから懸命のシノギとなりました。黒10のコスミツケに白11とつけ、黒12のグズミに白13、15からコウになりました。この後、コウを争いながら、上辺の黒模様を良い形にまとめることができ、優勢となりました。
今年も印象に残る手がいろいろありました。来年はどんな手が登場するでしょう。楽しみです。(おわり)
●メモ● 坂井八段は11月、第42期名人戦最終予選で内田修平七段に先番半目勝ちし、4期ぶり9回目の名人リーグ入りを決めた。「2年半前に本因坊リーグを陥落してから鳴かず飛ばずの状態だったので、ほっとしています。大きなところで打てるのがうれしい。目の色を変えて集中したい」