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上達への指南
結城聡九段の「今年この一手」 読売新聞 2007/12/03掲載
(5)「意表の一着」粘られ失敗(寄稿連載)
 ◆女流名人戦敗者復活戦 (黒)四段・鈴木歩 (白)八段・吉田美香

 僕は月2回、神戸の堀田陽三九段が主宰する囲碁クラブで研究会を開き、師範格のような役を務めています。メンバーは同門の古谷裕七段をはじめ、瀬戸大樹六段、村川大介四段、小西和子八段と精鋭ぞろいです。たまに吉田美香八段も顔を見せてくれます。吉田八段は子育てに追われながら対局をこなし、その苦労は大変なものだと思いますが、それをほとんど表に出さないのには頭が下がります。元気はつらつとした棋風で、よく意欲的な手を繰り出しているようです。

 【局面図】 白16と18は、最近流行の白イ、続いて白ロと開くのより堅い。白24から26と飛びました。後を強く戦おうという作戦でしょう。白28の小ゲイマジマリはしぶい。これをハといっぱいに詰め、黒ニ、白ホの進行もあり、これも一局でした。
 黒29とケイマにあおられた時、白30とぶっつけたのにはびっくりさせられました。「意表の一着」、「大胆不敵」――。これはどう表現したらいいのでしょうか。

 【実戦図】 黒31のハネは当然の応手ですが、白32の出が吉田八段の狙いだったのです。

 【変化図1】 続けて黒1と出ると、白4に黒5の押さえは絶対。白6から黒11までは必然の手順で、白12と伸びます。黒13なら白14と当てて、実戦図の白30がぴったりシチョウ当たりになっています。黒のつぶれで、これが吉田八段の読み筋でした。
 実戦図に戻り、黒33の押しから35の切りが手強い抵抗です。白36は37とついで頑張りたいのですが、黒Aと当て、白Bに黒41と飛ばれて白はうまくいきません。あまりに難解なので、この変化は省略させていただきます。黒45の次に、白がCとつぐ手はほとんどありません。

 【変化図2】 黒2の放り込みから10と抜かれて、白がよくないのです。結局、白30のツケは失敗に終わりました。

●メモ● 結城九段の近著は「アマの悪手を直す2つの形勢判断法」(毎日コミュニケーションズ、1400円)。どのように形勢を判断するか、その方法をアドバイスし、判断に基づく適切な打ち方を説いている。

【局面図】


【実戦図】


【変化図1】


【変化図2】
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